今週のお題「冬の楽しみ」

 今週のお題である「冬の楽しみ」について、想い出したことがあるので、それをエントリーしてみよう。
 それは、今はもうなくなってしまった神宮前にあった学生寮に住んでいた頃のことです。
国電表参道駅を降りて竹下口の出口を抜け、目の前の信号を渡り、竹下通りの坂道を降りきったところに、東郷統合神社に続く道があります。
 その道に沿って、東郷神社の参道を抜けると、明治通りに突き当たります。
 突き当たった付き合ったところにある信号を渡って、ビルとビルの間の小さな抜け道を抜けると、明治通りから一本奥まったところに、明治通りと平行して走っている小さな商店街通りがあります
 その商店街を抜けると、大きな道に突き当たります。
 その手前に住宅街へ入っていく脇道があります。
 その脇道は、ちょっと急な坂道になっています。
 その坂道を登っていくと、左手に壊れかけたお寺があります。
 そう、そのお寺の手前に、ちょっと広い鉄扉があります。
 鉄扉越しに白いコンクリート敷きの中庭を挟んで、両側に壊れかけた古い木造とコンクリート作りの建物があります。
 これが、今回のエントリーの舞台です。
 先ほども書きましたが、もうこのような建物はなくなってしまい、今は新築のマンションが建っています。
 すっかり、風景が変わってしまい、かつてそのような建物があった形跡は見つかりません。
 そして、木造の古い寮棟と隣家との間には塀があり、一段低いところに隣家は建っていました。
 私たち新入生は、当然木造の2階建の部屋が割り当てられました。
 それも、2人の共同部屋です。
 春から夏にかけて、カーテンのない大きな透明ガラスの引き戸のある部屋は、太陽が上るに連れて光が直接入ってくるものですから、遅い時間まで寝ていることはできません。
 しかし、冬が近づいてくると、今度は隙間風が容赦なく入り込んできます。
 火事が起きないようにとのことで、石油ストーブ等の部屋への持ち込みは禁止でした。
 まして、エアコンなんていう文化的なものは、部屋には備え付けられていません。
 とにかく寒さが堪えました。
 雨露と直接の寒風が防げるだけ感謝しなければならないのですが、外にいるのとあまり変わらない環境です。
 そんな寒い部屋で一冬を過ごすには、絶対欠かすことが出来ないのが、電気炬燵でした。
 そう、炬燵の中に入っていると、もう外に出る気が起きません。
 友人の一人は、炬燵に入り浸って学校へ殆ど行っていなかったのではないかと思います。
 とにかく、マイコンをいじるのが好きで、それから麻雀の詰め込みの練習に費やしていたようです。
 そんな寒い冬の夜の楽しみは何かといいますと、気の合った連中が小銭を出し合って、その当時出来たばかりのALL Nightで開いているコンビニへ買い出しに行って、当時の学生でも買うことができた国産の一番安いホワイト・ウィスキーと乾き物を買ってきて、炬燵のある部屋に集まって、酒盛りをすることです。
 炬燵の傍に、ラジカセ(ラジオ付カセットデッキ)に自分の好きな音楽のカセットテープを持ち寄り、音楽を流しながら、酒を酌み交わし、とりとめもない話を眠気が襲ってくるまで楽しむのです。
 習慣とは恐ろしいもので、そうやって各自が持ち寄った音楽は、聞く人間にとっては、最初はノイズであり、興味の対象外でしたが、だんだんと体の中に沁みこんで行き、いつのまにかそこに集まってた連中の共通のお気に入りになって行きました。



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