少年たちの小さな旅

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自転車に乗った2人の少年は、いま江戸川の堤防の上に立ち上流を目指して、自転車のペダルを踏み始めました。
「今日は、どこまで行く?」とAクンがBクンに尋ねます。
「とりあえず、行ける所まで行ってみようよ。」とBクンは答えます。
秋空の下の堤防の上には、おじさんたちがウォーキングしています。
汗を流しながらすごい形相で走っている男性もいます。
運動クラブの中学生は、割とダラダラと並んで走ってます。
フル装備のお兄さんお姉さんたちが、少年たちの自転車を追い越して行きます。
刈り取られて天日干しの雑草が1箇所に固めて置かれています。
草叢の中からは、虫たちの鳴き声が聞こえてきます。
自転車に轢かれたバッタが1匹、死んでいます。
川から吹いてくる風は、涼しさを堤防の上の人たちにサービスしています。
少年たちは、休むことなく自転車を漕いでいます。
新しく出来た「つくばエクスプレス」が見えてきました。
少年たちは、「ウワホー」と小さな叫び声を上げながら、その坂道を下りていきました。
つくばエクスプレス」の線路の下にあるトンネルを抜け上り坂の途中までは、下ってきた勢いで自転車を漕がなくても進んできましたが、その勢いもそろそろ尽きてきたようです。
少年たちは、ペダルに力を入れ、坂道を駆け上がります。
その少年たちの横をフル装備のサイクリングのベテランは、十分に日焼した引き締まった筋肉の足で軽々と追い越していきます。
坂を上ったときにAクンはBクンに、「少し疲れたから、ちょっと休憩しないか?」と聞きました。
「そうだね。
ちょっと休憩しよう。」とBクンは、Aクンの提案を受けました。
少年たちは、自転車を道路の端に止めて、もってきた水筒を取り出すと、ゴクリゴクリと飲み始めました。
「かなり前にパパと来た事があるんだけれど、そのときはまだこの電車走ってなくて、いつ完成するんだろうと思ったんだけど、もう走ってるんだね。」とBクンは、今東京方面に橋を渡ってゆく電車を見ながらいいました。
「じゃあ、この堤防を走るの久しぶりなんだね。」
「あの時は、パパの自転車の前のベビー椅子の上だったから。」と、Bクンは言いました。
それから二人は、水筒の水をまたゴクリゴクリと飲み、自転車に跨ってペダルを漕ぎ始めました。
隣の町に行く橋の前に来た時、Aクンが、
「すごい渋滞だね。
この渋滞どこから始まってるんだ。
すごいよ、まだまだ続いている。」とびっくりした声で言いました。
「本当だ、まだ続いてるよ。」とBクンも横目で見ながら言いました。
前から、綺麗な白人のおばさんが、フル装備で向ってきました。
少年たちは、その白人のおばさんのざっくりと開いた胸元から覗く立派な白い塊に思わず目を凝らしました。
でも、おばさんは平然とした顔で通り抜けていきました。
西洋の人は、サイクリング好きなのか、もう何人も少年たちの横をすれ違ったり追い抜いて行きます。
「ちょっと、あのこんもりした森なんだろう。」とAクンは、自転車を止め、1箇所だけ盛り上がった森を見ています。
それに連れられてBクンも自転車を止め、その森の方向を見ました。
「ああ、あれはね、前にTVでやってたけど、この町の地名のもとさ。」とBクンはちょっと誇らしげに言いました。
「ここは流山だから、その地名のもとってどういうこと?」とAクンは、ちょっと不満な声でBクンに尋ねました。
「それはね、あの山は赤城山から流れ着いたっていう話があって、それで流れてきた山でここを流山って言うんだよ。」
「山が流れてくるなんて、そんなことあるわけないじゃないか。」とAクンは、Bクンの説明に納得できません。
「だって、そういうことだから、しかたないだろう。」とBクンはちょっとムッとしました。
「ゴメンゴメン、そんなにムットするなよ。
でも、そうやって昔の人は、この不思議さを説明しようとしたんだ。
だって、あそこだけだもんな高いところ、周りはずっと平らなんだもんなぁ。
そういう話が作られてきたのも、不思議でもないか。」とAクンは一人で納得しています。
「ほら、あの橋なんだと思う。」とAクンがちょっと得意そうな声で、Bクンに尋ねました。
「知ってるよ。あれは、常磐高速道路の橋だよ。」という答えを聞いて、Aクンはちょっと残念顔。
「あのトンネルのところで、一休みしよう。」と今度はBクンがAクンを誘いました。
トンネルの下には、先客がいてフル装備のお兄さんが道路の端にゴロリと寝転がっています。
ここで少年たちは、小休止をとることにしました。



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