仕事ですか家庭ですか?

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事前に、私たちは、何度も綿密な打ち合わせを行い、今日の取引先との交渉のための準備をしてきた。
目的地の飛行場には定刻どおりに到着した。
取引先の事務所までは、飛行場からタクシーを使う事にした。
その前に、今日の交渉終了時間がわからないため、早めの昼食をとることにした。
「仕事でなければ、こんなロケーションのいい場所に、来る事はないな。」と連れが言い、「そうですね。」と、私は答えた。
役職は同じなのだが、彼の方が1年先輩になるので、つい敬語を使ってしまう。
私たちは、取引先の事務所に着き、事前に連絡しておいたので、すぐに社長専用の応接室に通された。
取引先の社長も、私たちがどういう要件で来たのかは、先刻承知している。
穏やかな顔で出迎えてはくれたが、目は笑ってはいなかった。
まず、時候の挨拶を交わした後、取引先の社長は、既に退職した当社の役員に今までいろいろと世話になったこととか、在職中は一緒にゴルフした話をして、なかなかこちらの用件について、話させてはくれなかった。
その間、私たちは、営業スマイルで話を合わせることにした。
社長の話が途切れた頃を見計らって、本日の用件について、口火を切った。
「実は、社長当社としまして、いろいろと検討させていただいたのですが、御社との取引を止めさせて頂きたくて、本日はうかがいました。」
とズバリ用件を伝えた。
取引先の社長は、最初は、今までの取引経過とどれだけ当社に対して売上協力してきたかを延々と話し始めた。
しかし、今回の交渉目的は、とにかくこちらの用件を相手に通告することなので、何を言われても、「申し訳ございませんが、今後の取引は取りやめにさせていただきます。」の一点張りだった。
そのため、交渉時間が長引いた。

「社長。
実は、帰りの飛行機の時間が迫ってまして、それに明日は、他の用件もあるので、本日はこれで帰らせていただきたいのですが」と、席を立つ口実を言った。
「ほう、明日は休みだけれども、どういう用件なんだね。」と、社長は質問してきた。
「実は、明日は娘の運動会で、それに参加しないといけないです。」
と、この場にそぐわない不用意な発言をしたため、取引先の社長の怒りに火をつけてしまった。
「いま、ここで玉を取るか取られるかと言う話をしている時に、君、なんだその発言は。」

その発言で、持ち帰って再度回答をするということになってしまった。
それからは、取引先の社長の態度は、豹変し、「今からでも、間に合うように飛行機の手配をしろ。」と、秘書に帰りの飛行機の手配をしてもらい、タクシーまで呼んでもらう事になった。
なんとか、最終案内の飛行機にはまにあった。



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