小さなおじさんの旅

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一人のおじさんが、壊れかけた自転車にまたがり小さな小さな旅に出かけました。
青空の下、おじさんは秋を見つけに旅に出ました。
河川敷には、今までうるさいくらい鳴いていた蝉の声も少なくなり、いまは「ツクツクボウシ」が鳴いています。
その代わりに虫たちが、
  リーンリーン  スイッチョスイッチョと草叢から鳴いてます。
河川敷の広場では、バーベキューを楽しんでいる男女混合のグループが見えます。
全部で20人位はいるようです。
今度見えてきたのは、緑の河川敷のグランドで、少年野球団のメンバーが野球の練習をしています。
グランドの周辺には、付き添いのお母さんたちが、草叢に座って談笑してます。
サッカーチームの子どもたちも、フィールドいっぱい駆け回ってます。
中年のおじさんたちも、野球の練習試合に汗を流しています。
今日は、本当にいい天気だから、たくさんの人が、この河川敷に集まって、今日を楽しんでます。
土手の上のサイクリングロードは、どこまでも真っすぐに続いています。
サイクリングの装備を身に纏った人たちは、何人もおじさんを追い抜いて行き、またおじさんとすれ違いました。
前を走っているのは、白人の男性とその子供さんかな、大きな荷物を前輪と後輪にぶら下げ、荷台にも大きな荷物を載せて走ってます。
キャンプでもするのかな。
ウォーキングをしている人、ランニングをしている人、どちらかというと男性が多いです。
それも、おじさんと同じくらいの年齢の人が多いですね。
前から若い女性が自転車でやってきました、白人の若い女性です。
つい、前かがみになってますから、白い胸の一部が目に付いてしまいます。
今度は、東洋人の若い女性が、やってきました。
彼女の胸の前が大きく開いてます。
その若い女性は、おじさんの目が合った瞬間、素早くうつむいて自分の胸の辺りを見て、おじさんに睨み返してきました。
おじさんは、すぐに目をそらしました。
おじさんは、近眼と乱視です、眼鏡をかけていてもはっきりとは見えません。
それに老眼も加わっているのですから、でもその若い女性にはいやらしい中年男性に見えたんでしょう。
でも、おじさんはそれもめげず、自転車をこぎ続けます。
隣の町に入りました。
この町には、江戸時代の俳人小林一茶がよく訪れてきたそうです。
そして、その一茶をもてなした家屋が見えました。
あと、この町では新撰組近藤勇が、この町で捕らえられ、この川の「渡し」から川を渡って帰らぬ人となりました。
おじさんは、それからも自転車を漕ぎました。
今度は、明治時代に作られた運河に出ました。
この運河は、外国人の力を借りて作ったものです。
利根川と江戸川を繫いだ運河です。
その運河の出口に小さな公園があり、その公園の一角におじさんたちが5・6人集まって、なにやら楽しそうに話してます。
おじさんは、まだ自転車を漕いでます。
また、町を越えて、今度は醤油作りで有名な町にやってきました。
工場は、今日は操業していないようみたいで、工場の敷地には人の姿は見えません。
河川敷の風景も、その場所場所によって違います。
もともとは、葦が茂って人間が立ち入る事を拒絶するような川原だったのでしょう、それがさっき通り越した河川敷のように運動場に変わったり、公園に変わったりしてます。
そこには、自動車が入れるようにもなってます。
今見える河川敷は、そんな整備がされる前の人間が立ち入る事を拒んだような葦の原です。
この葦の原には、たくさんの生物もしかしたら妖怪も住んでいるのかもしれません。
そんな愚にもつかないことを考えながら、おじさんは上流を目指します。
堤防の反対側の風景も、場所によって変わります。
新興住宅街となった場所もあります。
刈り取られた田んぼがまるで畳を敷いたように区切られた場所もあります。
河川敷の葦ケ原が、堤防で一旦区切られ、堤防を越えてまた葦ケ原が続いているところもあります。
出発して25キロ走ってきたので、おじさんは引き返すことにしました。
今度は、向かい風で来た時よりもなんだか冷たく感じます。
おじさんの右側には、太陽がかなり落ちてきました。
ふと、その風景が、おじさんの目を捉えました
スモッグに覆われた空、その空の向こうに太陽が見え、その手前にある雲の影が浮いている。
あたりまえの風景なのですが、なんだか3Dの風景が、そうです手前の雲が飛び出して見えるのです。
そらに浮遊している雲が、後ろから照らされる太陽の光を受け、まるで幻想の世界に連れて行ってくれるそんな風景です。
ふとその左側には、なんと雲に虹の色が見えるのです。
おじさんは、その風景を見ています。
太陽の直射日光の痛さを我慢して。
そんなおじさんの前を、ウォーキングをしている人、ランニングで汗を流している人、多くの人が通り過ぎて行きます。
おじさんは思いました、こんな幻想的な風景が今刻々と変わっていているのに、なんてもったいないことだろうって。
雲の虹は見えなくなりました。
今度は、まだ沈むには早すぎる太陽ですが、川面にその姿を写し始めました。
その川面の光の反射の中で、川面に座っている二つの黒い影や、釣り糸を垂れている黒い影、まるで映画のワンシーンのような風景です。
今度は、下流から競争用ボートを漕ぐ姿とその川べりで自転車に乗ってコーチしている男性の姿。
これもまるで青春映画にある感動的な名シーンのような風景。
沈む太陽の中に消えていくヘリコプターの黒い影。
実に、おもしろい風景が目の前で展開しています。いる、
おじさんは、シナリオのない入場料無料の映画を十二分に楽しませてもらっていますいる
もうそろそろおじさんの小さな小さな旅は、終わりに近づいてきました。


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