125 夕陽に向かって
夕方涼しくなってから、夕散歩に行ってきた。
家の前の道をまっすぐ行くと、途中で交差点を渡るけど、鎮守の森に着く。
8月になってからは、蝉が鳴いている。
しばらく歩いていると、前方の路上に何かがいる。
その物体の前に若い女性が、日傘をさしてその物体を見ながら立っている。
僕は、最初猫が寝転んでいるのかと思ったんだ。
近づいてよく見ると、小さな男の子が路上に仰向けに寝転がって駄々を捏ね
ていたみたい。
でも、泣き声はしなかったなぁ。
僕たちが、その男の子に近づこうとしたら、ママさんもその男の子の傍に近
寄ってきた。
きっと、僕がその男の子に悪戯すると思ったんだよ。
そして、そのママさんは、僕に「おいで、おいで。」とを手招きするんだ。
だから、僕はその男の子よりも若いママさんの方に方向転換。
若いママさんは、両手で僕の身体をゴシゴシと擦りながら、
「人懐こい犬ですね。」って言ってた。
ここの家のパパは、苦笑い。
きっと、腹の中で「いいえ、チーズは、人じゃなくて女性に懐くんですよ。」
って言ってるんだろうな。
そんな若いママと僕を見ていた、男の子は立ち上がって、僕の方に近づいて
きそうになったところで、僕たちはその場を離れたんだ。
バス通り沿いの商店街の黒い影を背景にして金色の夕陽が、西の空に沈みかけ
ている。
その夕陽に向かって、僕たちは家路についた。