106 僕の習性 1

ここの家のパパの携帯の呼び出し音が鳴っている。
持ち主は、まだ寝ている。
やっと起きだして、携帯に出た。
だけど、何度も相手を聞き返している。
「ああ、○○か。
どうした?」
掛ってきたのは、ここの家の長男からだ。
話の内容は、昨日の西日本を襲った災害関係。
ここの家の両親が住む広島で山崩れがあったから、もしかしてと心配になって電話してきたよう。
ここの家のパパは、「うちは、大丈夫だよ。
お前から電話掛けてみな。爺ちゃんたちは、その方がきっと喜ぶよ。」と言って携帯電話を切った。
僕は、その電話のことより、早く朝散歩に行きたいんだけど。
やっと、ここの家のパパの外出準備が出来た。


今日の空も、曇り空。
青空が少し顔を出している、空の近くの高い雲はあまり動いてない。
そのずっとずっと下の、高いマンション近くのねずみ色の低い雲は、風に流されていく。
そして、僕が歩いている地上にも少し風がある。
僕の耳元を通り過ぎる風は、見てきた風景を語りかけるように音を立て通り過ぎて行く。
散歩するには、丁度いい天候だよ。
いつもの長細い公園には、誰もいなかった。
国道に出て、それから葱坊主のマンションの有る交差点を左折。
通学中の小学生が、大きなランドセルを背負って向かってくる。
僕たちの後ろから。
右手でベビーカーを押しながら、左手には小さなおにいちゃんの手を牽いた若いママは、
お兄ちゃんの幼稚園へと坂道を下りてくる。
交差点の赤信号で、さっきの若いママたちは、僕たちに追いついちゃった。
信号が青に変わると同時に、僕は交差点を走り渡る。
信号を渡った先には、駐車場の犬小屋から小さいくせによく吠える犬が2匹と大きな犬が2匹いるから。
そうじゃなくて、僕の習性の一つとして、「交差点は走り抜ける」ってのがあるんだ。

ここの家が近づいてくると、なぜだか僕の歩みはなんだか重くなってくる。
だから、ここの家の出入り口の家の縁石の陰で身体を投げ出して一休み。
これが、僕の習性の二つめかな。
だけど、ここの家のパパは、そんな僕を見て、
「早く帰るぞ。」と急かせる。
僕としては、特に外に居たいって言うわけじゃないんだけど、家の中で1匹でいるのがいやなだけかも・・・・・。
淋しがりやってのが、僕の習性の3番目かな。


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