130 蝉

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朝散歩は、ここの家の次女といって来た。
それから、午後はずっと瞑想中。
夕散歩は、ここの家のパパと行って来たところだよ。
交差点で信号待ちをしていたら、目の前でなにやら光る物体が裏返しになって足をばたばたさせている。
「蝉だよ。
きっと、飛び疲れて、力尽きて落ちちゃったんじゃないか。」って、ここの家のパパは、その蝉を摘み上げた。
その蝉をどうするの?と思っていたら、信号が変わった。
僕は、交差点を渡る時は、なぜか走るんだ。
交差点を渡りきったところには、僕がいつもマーキングする躑躅の街路樹がある。
ここの家のパパは、その躑躅の葉の上に、さっきの蝉を置いたみたいだ。
下からじゃよく見えないんだ。
「ああ見えた。でもその蝉、なんか葉っぱに掴まっていなくて、落っこちそうだけど。」っていう、僕のテレパシーが通じたのか、ここの家のパパは、ボソッと
「地上に出てきてからの蝉の命は、短いんだよ。
もしかしたら、寿命なのかもな。」と言ってた。
本当だ。動かなくなったアブラゼミが、さっきの躑躅の街路樹より少し歩いたところに落っこちていた。
それから、道路沿いをしばらく歩いていくと、男の子が2人マテバシイの前で何か話しながら、マテバシイの幹に木の枝を押し付けてる。
よく見ると、マテバシイの幹に止まっているアブラゼミの背中を押さえているんだ。
ここの家のパパを見上げると、見て見ぬふりをして通り過ぎていっちゃったよ。
「なんだよ、さっきは助けてあげたのに、今回は見過ごすの。」っていう目で、ここの家のパパを見上げちゃったよ。

大きな広場に着いた。
ここは、市営の駐車場みたいだけれど、利用する人がいないみたい。
入口の前には、入れないように鉄の鎖が張られている。
僕たちは、その広場に入った。
ここの家のパパは、落ちている木の枝を使って、僕に芸を仕込もうとしているみたいだけれど、僕はこんな広場で何をしていいのか戸惑ってしまう。それに、そんな落ちている枝じゃ興味も沸かないと、そっぽを向く。
そうすると、突然ここの家のパパは広場の中を走り出した。
首にリードが繋がっている関係上、僕も走らないわけにもいかないから、付き合ったけれど、ここの家のパパは、そんなに長くは走れないようだ。
西の空は黄金色の夕焼け空。
なのに、ポツリポツリと冷たいものが落ちてきた。
だから、ここの家のパパは、帰ることにしたようだ。
僕は、匂い探しをしながらあっちにフラフラ、こっちにフラフラって状態。
ここの家のパパは、本格的に降りだす前に帰ろうとする。
こんな場合、まぁ僕の要求は通らず、抱き上げられることになる。
消防署の窓ガラスや二階家の窓ガラスには、黄金色の夕陽が眩しく反射している。
なのに、空からは落ちてくる雨は、ポツリポツリと僕の背中に当たる。
変な天気だと思いながら、僕はゆらりゆらりとここの家のパパの腕の中で揺れながら帰ってきた。



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