チーズの目 76

昨日の夜は、パラパラとぱらついていた小雨が、今日起きてみると雨降り。
ここの家のママは、朝から機嫌が悪い。
ここの家のパパに悪態をついている。
ここに書くにしのびないことばの機関銃連射。
きっとここの家のパパの再就職できないからかな。
それで、ここの家のパパは、居たたまれなくって長男の部屋に逃亡。

僕は、今日の朝散歩の予定もなく、いつもの場所で丸くなって瞑想中。
近畿地方は梅雨に入ったって。
関東地方も、もうすぐだな。
僕にとって唯一の社会との接点なのに、鎖されるのは憂鬱だよ。

昼過ぎには、ここの家のパパのPCへのカタカタ入力が終り、どこかへ出かけそうな気配。
「ちょっと、散歩に行こうよ。」とテレパシーと同時にリビングの引戸近くで出掛けたいとのパフォーマンス。
仕方ないなぁという顔で、ここの家のパパが、散歩の準備を始める。
「ヤッタァー。」と、喚声(実際は声は出てないけれど)を上げながら、僕は、嬉しさを後ろ足立ちになって前足をばたつかせて表現する。
玄関を出たら、雨はパラパラ模様。
でも、水溜りは、しっかりできている。
とりあえず、いつものコースを歩き始めた。
足とおなかに雨を含んだ土や草があたるから、冷たいんだけれど、気にせず歩く。
「あの懐かしいにおいがする。」と思いながら、におい探し。
「見つけた、ミミズの死骸。」
仰向けに寝転がろうとしたら、首のリードが持ち上げられ、寝転べない。
ここの家のパパも、僕の習性をわかってきたみたい。
それに、雨を大量に含んだ土の上だから、余計ここの家のパパの力が入っている。
散歩途中から、ちょっと落ちてくる雨の量が多くなってきた、
ここの家のパパはUターンを決定したみたい。
「冗談じゃない。もっと歩きたいんだ。」と路上でストライキのパフォーマンスを試みる。
負けた。
しぶしぶ帰ることにしたけれど、やっぱり散歩続行気分だから、ちょっと不貞腐れ気味で歩く。
でも、手綱を握られている身分だから、僕の完敗。
ああ、家に着いちゃった。
足とおなかを洗われて、タオルで一応拭いてはくれたんだけれど、生乾き状態。
ここの家のママだったら、ドライヤーで乾かしてくれるんだけれど、ここの家のパパは、まったく気が利かないんだから。
そして僕は今、いつもの指定席で、ボーっと外を見ている。
また、雨は止んだみたいなんだけどと思いながら。
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