チーズの目 61

 今日も朝から空は厚い雲に覆われて、太陽の光も見えないよ。
 それに肌寒いし。
 今朝は、ここの家のパパとグルッといつもの朝散歩をしてきた。
 今日は、黒い大きな犬2匹。
 リードもないままユッサ・ユッサと肩をいからせて・・・。
 だから、またまた僕は、吠えてしまった。
 すると、今度もここの家のパパが僕をすぐに抱き上げて、そそくさと逃亡。
 僕は、後ろが気にはなるけれど、ここの家のパパの腕で、ガッチリと締め付けられているせいで、振り返ることも出来ない。
 今朝は、そんなことぐらいかな。

 昼からは、ここの家のパパが、町の図書館から予約した本が届いたって連絡があったんで、そのついでに僕の散歩も兼ねて行くことになった。
 どうせ、僕の散歩はついででいいよ。
 その時のエピソードは、町中に入ったときにすれ違ったおばさんとここの家のパパの会話だね。
 信号をまがったら、そのおばさんが近づいてきたんだ。
 僕は、立ち止まってそのおばさんが近づいてくるのを待っていた。
 そしたら、そのおばさんも僕の視線に気づいたみたい。
 僕に近寄ってきて、この家のパパに
 「犬のにおいがするんだろう。」と言った。
 「はぁ。」って、気の抜けた返事をするここの家のパパ。
 「今、娘の所に行ってきたんだよ。
 そこに犬がいてね。
 その犬のにおいがするんだろうね。」と言いながら、僕の頭を撫でてくれた。
 僕は、そのお返しに、そのおばさんの膝に前足を掛けて、ちょっと甘えた対応をする。
 それから、すぐにお別れをした。
 それから、町中の図書館で、ここの家のパパの用事が済むまで、ポールに繋げれたま待機。
 あとは、家に直帰。

 その間に、ここの家のママとの散歩のときはよく会う近所の仲間と遭遇したんだ。
 だけど、同行者のおばさんは、僕のことがわからなかったみたい。
 っていうか、同行者がいつものママじゃなくて、見知らぬおじさんだったから。
 ここの家のパパから、僕の名前を聞いて、
 「あ〜。チーズ君なの。
 いつも、ママだからね。
 そう、今日はパパと・・・。」

 そうなんだよね。
 女の人のネットワークはすごいんだからサ。
 わかった、ここの家のパパ。
 そして、今僕はいつもの指定席で、丸くなって瞑想中。