チーズの目 53

 今日は、珍しく朝早く散歩に出かけた。
 小学校の方から
 「ドン、ドン、ドドーン。」と大太鼓の音が聞こえてきた。
 今日は、土曜日なのに、自分の顔と同じくらいの長さの水筒を、肩にぶら下げた体操服姿の小学生がグループを組んで進んでいる。
 今日は、運動会なのかな。
 小学校に近づくと、
 「フレー、フレー白組。
 フレ、フレ、白組。」と応援の練習だろうなぁ。
 やっぱり今日は運動会か。
 
 いつもの長細い公園、「クン、クン。」匂い探し、「クン、クン、何か匂うんだ。」
 「クン、クン。」
 「このあたりにあるんだがなぁ。」
 「見つけた。ここにいたか。」
 なんだと思う、干からびたミミズ。
 なぜだか、これを見つけると、僕は、仰向けになって、身体を押し付けるんだ。
 そうすると、ここの家のパパは、
 「コラッ、チーズなにやってるんだ。」って、すぐにリードを引っ張るから、それ以上の欲望を満たせず、欲求不満状態になる。
 そして、ここの家のパパは、そんな僕を見て、いつも不思議そうな顔をする。
 そして、僕に聞く。
 「なんで、干からびたミミズに身体を押し付けるんだ。」って、聞かれても、本能的なものとしか答えられないんだよね。