チーズの目 44

 昨日は、雨のため午前中の散歩は中止。
 今日は、一日中家の中かなとあきらめていたんだ。
 でも、午後になって、今にも雨再開って感じの空模様なんだけれど。
 雨が降りださないうちにってことで、僕たちは午後の散歩に出かけたんだ。
 外に出てみると、皆考えることは同じだね。
 多くの仲間が、出ていた。
 いつもの散歩コースをぐるりと回って、丁度僕の家の前に来た時、久しぶりにポメラニアンのお兄さんとダックスフンドのお兄さんに会った。
 ポメラニアンのお兄さんは、近所のマンションに住んでいて、よく散歩の時に会うんだ。 
 ポメラニアンのお兄さんが近づいてくるのを地面に座って待っていた。 
 僕は、立ち上がりポメラニアンのお兄さんの鼻に軽く挨拶をする。
 それから、同伴者のおばさんの足下にじゃれつき、それから僕は、頭を撫でてもらいやすいように足下に座る。
 そしたら同伴のおあばさんは、少し前屈みになり、僕の頭を撫でながら、
 「あら、チーズ君。
 さっぱりしたら、痩せちゃったみたいねぇ。」って。
 「ええ、そうなんですよ。」と、ここの家のパパ。
 そこへ、今度はダックスフンドのお兄さんがやってきた。
 僕は、立ち上がりダックスフンドのお兄さんのお尻に挨拶をして、今度はダックスフンドのおばさんの足下に寝転ぶ。
 「チーズ君、折角きれいになったのに、汚くなるよ。」って、僕に忠告をしてくれたんだけれど、まったく僕は意に介さず、ダックスフンドのおばさんの前でパフォーマンスを披露した。
 「チーズ君、家に入るんでしょ。」と、ダックスフンドのおばさんは、僕の寝転びのパフォーマンスに軽く笑いながら言った。
 ここの家のパパは苦笑いしながら、
 「おい、チーズ家に入るぞ。」って、リールリードを引っ張られて、家の中に連れ込まれてしまった。


 そして、今日は、昨日の夕方からの雨が続いている。
 ああ、今日も朝の散歩はないのかなといつもの指定席に丸まっていたんだ。
 ここの家のパパが、いつものようにカタカタと音を立てていたけど、ふいに外を見てガラス窓を開け、雨が降っていないことを確認していた。
 僕は、指定席を飛び降り、玄関口の引き戸に駆け込んだんだ。
 外に出ると、結構明るいんだけれど、上を見ると空一面の雲だった。
 いつもの長細い公園に着いたら、公園の真ん中で、立ち話をしている二人のご婦人と傍にリードから解放された仲間がいた。
 僕たちは、その人たちに近づいて行った。
 防雨服にipotのご婦人は、僕の仲間の首輪にリードを装着した。
 最初、防雨服のご婦人は、僕がその仲間に近づくことを警戒していたんだ。
 だけれど、僕が素早く仲間のお尻を追いかけるもんだから、そこにいたもう1人のご婦人が僕を見て
 「かわいいねぇ。」って、僕の方に手を差し伸べたんだ。
 僕は、お愛想のつもりで、そのご婦人の手に鼻をくっつけたんだ。
 でも、その時の僕の興味は、その仲間のお尻のほうだったんだ。
 僕を見て、防雨服のご婦人は、ここの家のパパに
 「わかいはねぇ。いくつなの?」と聞いていた。
 ここの家のパパは、4つです。」って、ここの家のパパが答えた。
 「やっぱりねぇ。うちのは、もうおばあちゃんだから。」って防雨服のご婦人が言った。
 もう一人のご婦人が、
 「さっきまで、草取りやってたから、手が匂うんだろうねぇ。」って、僕がこのご婦人に愛想を振らなかったから、言ったんだと思うけれど、さっきも言ったようにその時の僕は、このおばあさんのお尻を追いかける方に忙しかったんだ。
 「あまりしつこくすると、睨まれるわよ。」って防雨服のご婦人が忠告してくれた。
 それでも、僕はおばあさんのお尻を追いかけていたら、
 「本当にうるさい子だよ。」って、おばあさんに睨まれてしまった。
 それでも、僕がおばあさんのお尻の周りを走り回っていたら、ここの家のパパのリードに引っ張られ
て、その場から離れてしまった。
 20分ぐらい経ったら、雨がポツリポツリと落ちて来た。
 ここの家のパパは、早く家に帰ろうと僕を引っ張るんだけれど、僕はまだ変える帰る時間じゃないといつものように、振舞った。
 僕が道端で力んでいる時、僕の仲間と同伴者が近づいてきて、ここの家のパパに、挨拶をした。
 ここの家のパパも、初対面だけれど挨拶をした。
 「散歩に出てきたばかりなんだけれどねぇ。
 この雨じゃ、私もUターンですよ。
 とりあえず、ウンチ終わっちゃたから、帰ります。」と言って、ソソクサと家のほうへ去っていった
 すると、雨は降っているんだけれど、太陽の光が届く、もしかしてこれは、ここの家のパパのおばあちゃんが言っていた「天気雨」?
 天気雨だとすると、「狐の嫁入り」が見られるのかな?