町散歩番組

　チーズの夕散歩の時、ほんの数分間のこと、空一杯に埋め尽くされた雲が、紫色に近いおれんじ色にそまった。そして、その色は私の周りの風景の色も変えた。
　西の空を見上げると、雲の上の空の色がかすかに見えた。
　それから、夕闇は一度に襲ってきて自転車や自動車のヘッドライトの光を眩しく感じるようになった。
　
　チーズは、歩くのが飽きたのか、途中で立ち止まって顔を上げて、こちらの顔を見ている。
　「さあ、歩こう」と先へ進むように促しても、立ち止まったままで、動こうとしない。
　仕方がないので、腰を落とすと、チョコチョコと近寄ってきて、立ち止まる。
　「しょうがないなぁ。」と言いながら、頭と喉を撫でてやると、じゃぁ、もう少し歩いてみようかと言う感じでゆっくりと歩き始めるが、また動きが止まる。
　なぜか、我が家が近くなると、動きが緩慢になる。
　これは、「帰りたくない。もう少し外にいたい。」ということなのか、「歩くのが疲れたから、ここからは抱っこして帰ってくれ。」ってことなのか、実に悩ましい限りである。
　そうやって、チーズの動き出すまでの数分間をひたすら待つ。
　やっと、動く気になったようで、無事に帰還。
　
　某国営放送で、昨年に続き今月から始まった散歩番組を見る。東京を中心にした町歩きで、ＣＧ処理をされたりするので、歴史をさかのぼってみる事が出来て実に面白い。
　今に至る歴史が、当時の参考資料等に基づいて、再現されるのは実におもしろい。
　今日は、新宿と水がテーマで、玉川上水・十二社池などであった、そういえば中沢新一さんの「アースダイバー」のなかでも、新宿は水と関係があるという内容だったような記憶がある。結構面白く読んだのに、詳細内容は殆ど忘れている。詳細内容は、もう一度原本にあたればいいことだ。「ちっちゃなことは気にしない。」
　玉川上水に関しては、杉本苑子さんが「玉川兄弟　−　江戸上水ものがたり」を書かれていたのを記憶している。いやあ、ためになる番組です。っていうか、某国営放送さんが撮影するからなんだろうけれど、なかなか一般人が立ち入る事が出来ないところに入っていけるんなら、もっと一般公開すればいいのにと思ってしまう。
　

　
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