時間持ち

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葛飾柴又と言えば、「寅さん」というイメージが定着してます。
そして、その寅さんの映画では、毎度出てくる舞台が、寅さんがゴロリと草叢に寝転んでいるあの江戸川の土手です。
そして、一人の初老の男が、その土手の草叢に座っています。
その老人の傍らには、コーラの缶が地面に置かれてます。
左手にはマックの紙袋を持ち、右手に持った「チーズタマゴダブルバーガー」を今まさに口に入れようとしています。
その老人の周りには、赤とんぼが2匹スイスイと飛んでいます。
1匹、2匹と集まってきました。
草叢には、秋の虫たちの声が聞こえてきます。
あれだけ8月に猛暑をもたらした太陽の光は、すこし衰えてはきていますが、まだまだ余熱を残しています。
草叢を通り過ぎる風は、すっかり秋を運んできたようです。
川沿いには、初老の男性が枯れ草を集めています。
川面では、モーターボートとそれに続く水上スキーが展開してます。
と思ったら、水上スキーヤーは、水の中に隠れてしまいました。
先ほどの草叢に座っていた老人の目は、じっと川面を見つめています。
老人の目に今映っているものは、何でしょう。
きっと、あのモーターボートと水上スキーではないくて、かつて、この川を荷物や旅人を乗せて行き来していた風景を見ているようです。
その当時のこの川のほとりでは、舟人や旅人のために、この川で取れた川魚やうなぎを料理して出す店もあったそうです。
時は、今も昔も同じテンポで刻まれているはずです。
でも、あの当時の時の流れは、きっと今より退屈すぎるくらいゆっくりと流れていたのではないかと思います。
老人にも、わかっています。
もうあの時代には戻ることができないステージに、来てしまっていることを。
だからこそ、こうして流れてゆく川を見つめながら、老人は時の流れを見ているのでしょう。
だからと言って、老人は、悲しんではいません。
確かに、老人は金持ちではないけれど、とても贅沢な時間持ちであることを喜んでいるのです。
この誰からも束縛を受けない貴重な時間を、持っていることを老人は楽しんでいるのです。


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