１１９ 雨上がり？

雷混じりの今朝の雨も上がったみたい。
これから、ここの家のパパと、朝散歩に出かける。
玄関を出た。
すこし、ポツリポツリと雨が落ちているのかな。
上を見上げると、空には白い雲と灰色の雲が入り混じって、青い色は見えない。
丸い太陽の光が、その雲の中で自分の存在をアピールしてる。
雲に追われるように飛んでいる飛行機が、黒い雲の中に消えていった。
エンジン音だけを、残したまま。

日陰には、朝方の雨と水溜りが残っている。
既に、乾いたアスファルトの道に、ポツリポツリと新しい雨の黒い跡がついている。
でも、そんなに広く拡がっていかないから、きっと散歩の間は大丈夫だよ。
いつもの長細い公園には、立ち寄らず、そのまま直進。
風が、涼しいくらい。
手塚治虫先生の『火の鳥』の主人公の猿田彦大神を祀る神社の前で一休み。
僕は、神社の周りを取り囲む草叢の中に、顔を突っ込む。
そして、草の雨露を舐めている、顔中ビッショリになりながら。
ちょっと急な崖の階段を下りて、路地を歩いていると、
ゴミ出しをしているおばさんに出会った。
おばさんは、僕を見て近くの家の中にいる人に実況報告。
「ほら、友達がきたよ、クッキー君。
ここに来ると、皆ここの家を見るんだね。
知ってるんだよ、友達がいるってッサ。」
このおばさん、僕のことを『クッキー』だって、きっと他の犬と間違えているみたい。
「ほら、電信柱におしっこしてる。」
家の中からもう一人のおばさんの声が、
「そりゃあ、どこの犬もおしっこをするよ。
同じだもの。」
そんな、そんなおばさんたちの会話を後にして、僕たちはその場所から離れた。

大粒の雨が、アスファルトの路上を黒く拡がってゆく。
ここの家のパパは、帰りを急ぎ出した。
僕は、もう少しゆっくりと匂い探しをしていたいのに・・・。

家にたどり着いて、いつものソファでゴロンとしていたら、
本格的にまた雨が降ってきた。

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