修学旅行 アーちゃん４

アーちゃんの中学２年生の秋のこと。
アーちゃんたちの修学旅行先は、関西方面だった。
そして、関西には、その年１０月に単身赴任していたパパがいた。
ママから、アーちゃんの修学旅行の話しを聞いたパパは、アーちゃんが泊まる京都の旅館に会いに来てくれることになった。

実は、アーちゃんは中学に入ってしばらく経ってから中学校へ行けなくなった。
それを心配したママは、パパに相談した。
最初の内、パパは何とかアーちゃんを学校へ行かせようと、力づくでアーちゃんを玄関から追い出したりとかしたけれど上手くいかない。
今度はアーちゃんを学校まで送って行き、それから会社へ行くようになった。
最初は、校門まで送って行った。
だけど、すぐにアーちゃんが、帰ってきたっていうママからの報告を受け、
今度は、教室まで一緒について行った。
それでも、アーちゃんは、教室に入ることができなかった。
それで、パパとママは、担任の先生や学校内にある教育相談室の先生と相談して、
「とにかく学校に来れば良し。」ということになった。
学校に来て、教室に入れなければ、別の教室で自習しててもいいと。
そんなアーちゃんだったから、パパたちは「アーちゃんは修学旅行には行かない。」と思ってた。
ところが、アーちゃんから修学旅行に参加したいということになった。

そういうことがあったから、パパはアーちゃんの旅館に行くことになった。
夕方、アーちゃんのパパは、仕事を終えてアーちゃんの泊まる旅館にやってきた。
パパとアーちゃんは、２人きりで１時間半ぐらい一緒にいたけど、話は弾まなかった。
それから、別れ際にパパは、アーちゃんに
「パパからの小遣いだ。」って、千円札一枚を手渡して単身寮に帰って行った。

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