１１２ 西日がキツイ。

今日も暑いねぇ。
昨日の夜、ここの家のパパと「夜散歩」をして、元気を取り戻したみたいだ。

そして、今日の夕散歩は、ここの家のパパと行って来た。
途中までは勇んで歩いていたんだ。
だけど、途中からやっぱり暑くなってきて、日陰のアスファルトの上に座り込んじゃった。
そんな僕の姿を見て、僕の横を通り過ぎていった小さな女の子が、
「あの犬さんなにしてるのかなぁ。」って、手を引いてもらっているママに聞いてた。
ママは、うまく答えられなかったみたい。
そうやって、僕が動かないものだから、ここの家のパパは腰を落として僕を見る。
「『だから、まだ暑いって』、出るとき言っただろう。」とか言ってる。
結局、ここの家のパパに抱き上げられて帰ることになった。

帰る途中の交差点。
向こい側には、小学生の女の子の自転車の大群が、信号待ちしている。
自転車の前のショッピング籠には、大きなビニール袋が入っている。
濡れた髪の子もいる。
ああそうか。
この道路の先には、流れる温水プールがあるから、そこからの帰宅途中なんだ。
それに、今日から夏休みだもの。
それに、なんといっても、この暑さだからな。
僕は、入ったことはないけれど、夏だから温水じゃないんだろうな。
コンクリート塀の日陰で下ろされた僕は、スタスタと歩く。
交差点を曲るとここの家があるんだけれど、ちょうど曲がり角で日陰が切れるんだ。
その手前で、僕はまた足止めを食らった旅人のように、立ち止まって座り込む。
もうすぐなんだから、歩けよ。
って言うここのパパの声を無視して座り込む。
しかたがないかと、僕を抱き上げる。
日が落ちた頃に、散歩に出かけたほうがいいみたい。

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