これが、太平洋だ。 シン君４
ギンギラに輝く太陽と青い空。
駐車場には、すでに色んな地名の入ったナンバープレートをつけた車でいっぱい。
海岸には、いろとりどりのパラソルが、立ち並んでいる。
パラソルの下では、水着姿のお姉さんやお兄さんは甲羅干し。
ＵＶ対策に忙しい、若いママたち。
水際では、砂のお城を作っている、おじいさんとそのお孫さん。
折角作ったお城が、波でさらわれていく。
海の中では、ピーチパラソルを奪い合っているお兄さん、お姉さんたち。
シン君は、いままでパパと海の中にいた。
すこし、体が冷えてきたので、陸に上がってきた。
そして、いまシン君は、ビーチパラソルの影の中で、
寄せては返す波の音を聞きながら、ポテトチップを齧ってる。
シン君とパパとバトン交代をしたママとサー姉ちゃんとアー姉ちゃん、
浮き輪を持って海に駆け出した。
砂浜の白い砂は、とっても熱くて、裸足で歩くのは痛いくらい。
シン君の目の前に広がる海は、太平洋。
波が高い。
ママとアー姉ちゃんとサー姉ちゃんは、
鯨の浮き輪とちょっと大き目の浮き輪で少し遠い所まで泳いでいき、波を待ってる。
高い波がきたら、それに乗る。
すごい勢いで浜辺まで一直線。
だけど、なかなか乗り切れないことのほうが多い。
その風景を、パパはビデオカメラに収めている。
シン君たちは、昨日パパの勤める会社の保養所に来ている。
毎年夏の恒例の行事になっている。
泳ぎに疲れると、太陽に熱せられたコンクリートの道の照り返しを受けながら、
近くの大きな駐車場に戻り、シャーワーを浴びて着替える。
それから、今晩の夕食の食材をゲットするために、近くのスーパーマーケットに
行くんだ。
保養所は、大手某不動産会社が建てたマンションを購入したものである。
だから、間取りも自宅より相当広い。
冷暖房完備で申し分なし。
ただ、ママが気に入らないのは、食事の準備をしないといけないことみたい。
でも、ご飯を炊いて、焼肉なんだから、大して手間はかからないはず。
後片付けが、大変なんだ。
これは、バブルがはじける前の２泊３日の家族旅行です。
バブルが弾け、会社の保養所は処分されました。
