中公愛蔵版「はだしのゲン」読了

憲法改悪、大軍拡、緊急事態条項の加憲等、「新しい戦前」が、着々と進められている現在において「はだしのゲン」は、開架図書から追放すべきではなく、閉架図書から救出されるべき作品だと、個人的に思います。

さきの戦争の戦争犯罪者が、糾弾されないまま、ブスブスと残った火種が、今また新しい燃料が注がれて再燃しようとしているように思うのは、私だけではないと思う。

SNSでは、「緊急事態条項反対」の声が、湧き上がっているけれど、メディアは殆ど取り上げないようです。

原爆が投下された後の生存者の方たちの悲しみや怒り不安について、同じ広島県人ではありますが、身近にそのような人がいなかったこともあり、当時は、大変だったんだろうなぁと本作品を読むまでは、真剣に考えてこなかった。

本作品を読むことで、ゲン若しくはゲンを取り巻く周りの人たちの境遇にあった時、どうしただろうと自問する。

自分自身は、きっとゲン若しくは隆太のような積極的な行動は取れず、看板屋の黒崎のような臆病で妬みを抱くいじけた人間の側かなと思う。

戦争、原爆投下による被害及びその後の不条理な生き方は、人為的な原因によるものだと思う。そうであるならば、二度と同じ過ちを起こさないようにすることはできるはず。

著者の真意は、本当のところ、わからないけれど、同じ過ちを起こさないでほしいという願いだと私自身は、思う。

本作品は、中学を卒業して当時としては夢が叶えられると考えられていた東京へ出て行くところで、終わる。

きっと、この先も著者の頭の中には、構想が詰まっていたんだろうと思うが、残念ながら中断したままで終わってしまった。

上京した後のゲン、隆太、勝子やゲンの家族の物語が続くのだろうが、著者の死によって、描かれることは無くなったけれど、「はだしのゲン」が生きた時代のことを考える最高の手引書だと思います。

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