夏の町の風景 2

ジリジリと照らす太陽の熱で熱せられたコンクリートの石段に座り、菓子パンを齧る。
近くを飛んでいた鳩たちが、数羽足下に集まってきた。
本当はいいことではないんだがと自己弁護しながら、菓子パンの一切れをその鳩たちの群れの中に投げ入れる。
サッと近くの鳩が咥える。
さっきより少し大きくちぎって投げ入れる、1羽がサッと咥えるが、ちょっと大きいから咥えきれずに少し残る。
別の鳩が、その残りを咥える。
それをどこかで見ていた鳩たちが、集まってきて、私の周りを取り囲む。
ざっと数えると20羽近くの鳩が、集まってきた。
残り僅かになったパンを、鳩の群れに投げ入れた。

そこで、私は信じられない光景を見た。
一羽の雀が、どこからか飛んできて、私が投げた最後のパンのひとかけらを石段に落ちる瞬間サッと弾き飛ばした。
そして、弾き飛ばした先の石段の上のパンを優雅に、一羽の雀が食べている。
残された鳩たちは、何事が起きたのかと周囲を見渡している。
これが、本当の「鳩が豆鉄砲を食った」っていう光景なんだろうなぁ。
しかし、あの小さな雀の動きは見事だった。
弱肉強食の世界は、本当に無慈悲なものだと、つくづくと感じた。
集まった鳩たちは、もうこれ以上もらえないと諦めたのか、私の周りから鳩は去っていった。

堤防の上から、堤防沿いの道路を見下ろす。
下校途中の小学生たちが、背中にランドセルを背負い、両腕には大きな荷物を抱えている。
そうか、今日は一学期最終日、今まで学校で作業した作品を持ち帰ってる。
小学校の時、同じ経験がある。
あの時持ち帰っていたのは、図工の時間に描いた絵、粘土細工。
ちょうど、東京オリンピックがあった影響だろう。
オリンピックの参加競技の人形を作ったことを思い出した。

歩道の傍の自動販売機の前。
大きな犬と自転車が止まっている。
伴走している男性は、飲料水を購入している最中だった。
その前で、下校途中の小学生たち、大きな犬が居るからなんだろう、通り抜けられずに立往生している。
伴走者の男性の
「大丈夫だよ。何もしないから。」っていう声と犬を制止させている動作を見て、立往生していた小学生たちも動き始めた。
あの大きな犬の横を通り過ぎるのは、ちょっと勇気が要るだろう。
私は、珍しくその伴走者の男性に、
ドーベルマンですか?」と聞いた。
男性は、私のほうを警戒かつ不審そうな表情となんとなく嬉しさを含んだ微妙な表情で、
「ワイマラーナです。ドイツ産の犬種ですよ。
ドーベルマンは、こいつにもっと耳を立て、黒くしたもんですよ。」と親切に教えてくれた。
「でも、こんなに大きいと大変ですねぇ。」
「特に、夏は犬も人間も大変だよ。
暑いと動きが緩慢なっちゃうから。」と、犬の話になると嬉しそうに話してもらえた。
ワイマラー君は、大きく口を開き、舌をだらと垂らして、本当に暑そうだ。


やっぱり、夏なんです。


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