流れのままに
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太陽が、西の空に傾きかける頃、人々は家を出て、この土手に集まってくる。
そして、土手の上の道を歩き始める。
近所のお隣さん同士なんだろう、楽しそうに話しながら中年女性たちが通り過ぎる。
ジョギングをしている人もいる。
犬を連れて、仲良く夕散歩している親子連れが通り過ぎる。
大きな犬に引きずられるように老婦人が通り過ぎてゆく。
私は、その道の端に置かれたベンチに座って、通り過ぎてゆく人たちの姿を目で追っている。
通り過ぎてゆく人たちの思いは、みんなそれぞれ違う。
何を思っているのか、一人ひとりに聞いてみたい気もする。
遥か目の下に流れている川を上流から下流へと目を追う。
と同時にバックの空も一緒についてくる。
目の前に展開する光景に比べたら、通り過ぎてゆく人間なんてほんとにちっぽけなものだ。
空の広さを改めてつくづくと感じる。
落ちていく太陽の光を反射させながら、川は海へと流れていく。
静かな川面は、まるで止まっているように見える。
けれども、連綿と続いてきた時の流れに合わせて、川は海へと流れ落ちていく。
川面の上を吹けてきた風は、この時間帯だとすごく冷たく感じる。
僕私の目の前を、手を繫いで笑いながら若いカップルが通り過ぎてゆく。
小さな子供を連れた若いパパは、煙草に火をつけながら、子供のスピードで通り過ぎてゆく。
サンダル履きの厚着をした年配の男性は、背中を丸めて、後ろで手を組んでゆっくりゆっくりと私の前を通り過ぎて行く。
夕日を浴びた背中に漂う淋しさのようなものは、きっと今の私の感情が反映しているのだろう。