お金が必要な理由。

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利用者さんのUさんは、元大工の棟梁です。
現役時代は、稼いだお金を飲み屋に使ったみたいです。
というのは、とにかく女性好きなんです。
当施設の利用者の女性に近づいて、言葉巧みに攻めるのです。
で、相手側の女性も、その言葉に乗ってしまう。

そのUさんが、私のところに来て、
「今日泊まりたいんだけど、部屋空いてる。」と聞いてくるのです。
ここを旅館か何かと勘違いしているようで、
「連れの女性がいるんだけれど、部屋空いてる?」と。
「ここは、デイサービスで旅館じゃないですよ。」と、説明をするがどこまで理解していることやら。

そのUさんが、今度はバーかキャバレーと勘違いしているようで、
「仕事が終わったら待っているように言われたんだけれど、女の子まだ出てこない?」と、私を支配人と勘違いしているようです。
でも、Uさんの勘違いの原因は、日中の当施設の女性職員が、Uさんの会話に合わせてキャバレーごっこしていたようです。
認知症の方の対応として、相手方の話に合わせるという方法がありますが、しかしこれはどうかなと思います。
それで、Uさんが日頃
「銀行から毎月俺の口座に振り込まれるはずなのに、息子が金をよこさない。
だから家に帰って、金を持ってくる。」との訴えがある時、
「Uさん、ここにいたらお金を使うことがないでしょう。
食事も用意しているんですから、
お金は必要ないでしょう。
どうして、お金が要るんですか?」と聞いても、はっきりした回答をしないんです。
やっと、Uさんがお金を欲しがる理由がわかりました。