メディア・リテラシーについて (2)

人気ブログランキングへ
 「メディアが映し出す世界は現実をそのまま鏡のように反射させたものではなく、それらを記号化して再構成したものである。
 メディアが送り出す情報や娯楽は、誰かが何らかの目的(利益・啓蒙など)で作ったものであり、誰がどんな目的で、どんな情報源をもとにメディアの内容を作っているのかに注目して、積極的に読み込んでいけば、メディアにどんな価値が隠されているのかがわかる。」 
 これは、菅谷明子著『メディア・リテラシー − 世界の現場から −』(岩波新書)に記載されている文章であり、1985年当時英ノッティンガム大学で教鞭を執っていたレン・マスターマン著『メディアを教える』のマスターマン理論の根底を成すものであるとのことである。
 この考えを持ったのは、「大衆文化は低俗である」と当時の教師の間に根強く存在していたからだそうだ。
 この文章を読んで思ったのが、「文化に高尚とか低俗とかと言う分類をする必要があるのか」ということである。受け取る側に、それだけの分析能力があれば、たしかに問題はないわけである。
 だとすれば、そのように読み解く能力を身につける事が一番大事なんだと思う。
 
 じゃあ具体的にどのようにしたら身につくのかというひとつの参考資料としては、イギリスで作られた「メディア教育の分析枠組み」(2000年代に英国の教育現場で広く取り入れられているものとのこと)がある。
 (Primary Medhia Education:A Curriculum STATEMENT(Cary Bazalgette、1988) 
 
 手元に、池上彰さんが書かれた「池上彰メディア・リテラシー入門」(オクムラ書店)がある。
 
 もくじ 
 はじめに〜メディア・リテラシーとは〜
 第一部 メディア・リテラシー入門
  第一章 テレビとのつきあい方
  第二章 新聞とのつきあい方
  第三章 広告代理店とPR会社
  第四章 インターネットとのつきあい方
 第二部 メディアのウラバナシ
  第一章 だまされないためのメディア・リテラシー
  第二章 海外ニュースの報道を考える
  第三章 テレビの世界をご案内
 解説
 出版当時に話題になった事柄をわかりやすく説明はしているが、物足りなさを感じます。
 
 一つ一つの情報を、ここに書かれていることは本当のことなのかと批判的に読み解くしかないってことですね。しかし、本当のことだと判断するには、基礎的な知識がなければ、ならないわけです。
 でもなかなか、ひとつひとつ確認している時間がないから、ついネットとか批判的な意見を読んで、「ああそういうことか」と納得してしまう。
 ところが、そのネット情報とか批判的な意見も、また危ないわけです。
 これは、英国のメディア教育をする際に、「批判的な番組を無批判に受け入れる」との指摘がありました。指摘のついでに、もうひとつ「自然・動物やスポーツをテーマにしたTV番組も、無批判に見られる。」のだそうです。
 メディア・リテラシーを身につけるということは、簡単なことじゃない。
 作り手が、自分の手の内を見せるとも思えないし、ましてそのメディアを利用して、自分の思惑を成就させようという人たちが、かつてのナチスのようにいたのだから、実に大変なことだと痛感する。
  
 
下記のブログランキングに参加中。
気が向いたらで結構ですが、ご協力を。
にほんブログ村 オヤジ日記ブログへ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ