下町の買い物

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 愛用の自転車に跨り、国道6号線を東京方面を目指してペダルを漕ぐ。
 周りに人家のない歩道を東京本面から歩いてくる人にすれ違おうとしたら、
 「すみません。」と声を掛けられる。
 自転車のスピードはやや落ちていたので、少し通り過ぎて止まり、声をかけた人のとこ
ろまで引き返す。
 「すみません。この国道の反対側に行きたいんですけど、どうしたらいいんですか。」
と聞かれる。
 「今来られた道がありますよね。その途中に、反対側に行ける高架トンネルがあったん
ですよ。」と、その質問者を振り向かせた。
 だが、その人は、今来た道を引き返す気持ちはないようだと見た。
 「この道を、まっすぐ進むと、ちょうど坂道になるところがありますよね。」と、その
人の目線を前に誘導して、
 「ちょうど、あの坂道が上り坂になるところが十字路になってますから、その十字路を
右に曲がってもらえれば、反対側に行けますよ。」と答える。
 
 それから、県境の川を越え、隣町の図書館へ行き、借りていた本を返却する。
 隣町の市街地を駆け抜ける。
 菓子パンを買おうと立ち寄ったスーパー、商品を選びレジの前に並ぶ。
 私の前には、3人ほどのおばさんたちが並んでいる。
 レジ係のおばさんは、私の前に並んだ買い物客ひとりひとりに声をかけ、会話する。
 日頃のお付き合いがよくわかる、なんともいえない微笑ましい風景である。
 そこには、「接客マニュアル」にはない、血の通った日常会話だった。
 そんな会話がそれが、まだ生き残っている事になんだか、うしろで聞いていてうらやま
 しくなった。これが、下町の情緒というものなのかもしれないと。
 そんな気持ちを引きずって、スーパーを出て、でゆっくりと自転車のペダルを漕いでい
た。狭い十字路に差し掛かったとき、一台の自動車が左手から十字路に入ってくるのが見
えた。 
 その自動車の運転手は、こちらとは逆側を注意しながら見て、一時停止もせずに、通り
抜けようとした。
 もう少しで、ぶつかりそうになったが、相手がスピードを出していなかったので、何と
か相手側の自動車の前を大きくカーブを切って避けてとおり、なんとか接触は免れた
 

 水元公園に到着。
 公園入口のスロープを下って、公園の中に入った。
 ついこの間までは、蓮が水面を覆っていた蓮池は、何もない水面と池の周りにはまる裸
にされた泥色の土壌がむきだしになって、みすぼらしい姿をさらけ出していた。
 公園の中をゆっくりとペダルを漕ぐ、そのたびに周りの空気が冷たい風になって、肌に
あたる、それがなんとも心地よい。
 夏とは違う空気に、なぜだか人恋しさのような郷愁のようなものを感じる。
 ベンチに座っている人たちも、やわらかい太陽の光を浴びて、ゆったりとした感じだ。
 水面から飛び立つ白鳥たちが3羽、まるでスローモーションのようにゆっくりと水面か
ら離れていく。


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