[日記][チーズの目]151 車椅子と老夫婦

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夕方に流れる「よい子の帰る時間になりました」の放送が流れ終わると、僕はつい遠吠えをするんだ。
そうすると、2階に居たここの家のパパは、トントントンと階段の音を響かせて降りてくる。
そして、僕を夕散歩に連れて行ってくれるんだ。
今日も、小さな声で遠吠えをしたら、パパが降りてきて、僕を夕散歩に連れて行ってくれた。
今までは、まだ太陽が西の空に残っていたんだけれど、今日は雲が空いっぱいにあるからかもしれないれど夕暮れが始まっていた。
車道を走っている自動車は、もうヘッドライトをつけて走ってる。
僕たちは、いつものコースをちょっと小走りで回った。
今までみたいに、僕は立ち止まって大きく口を開けて、息をすることもなくなった。

長細い公園の入口の前の路上の脇にある草叢の中に、いつものように僕は、頭を突っ込んで匂い探しをしていた時、ふと、頭を上げて前を見ると、車椅子が近づいて来るのを見た。
その時は、もう暗くなっていて、よく見えなかったんだ。
僕たちの横をその車椅子が通り過ぎるとき、座っているのがおばさんで、押しているのはおじさんだってわかった。
二人とも押し黙ったままだった。
通り過ぎた後もその人たちを見ていたんだけれど、車椅子のうしろの荷台には、スーパーのレジ袋が二つ乗っかってたんだ。
きっと、あのレジ袋の中には、今日の夕食の材料が入ってるのかな。
おじさんは、とってもゆっくりとしたテンポで車椅子を押していった。
おじさんたちの進んでいく道は、だんだんと坂道になっていくんだ。
その坂道の入る手前に、十字路がある、今おじさんたちはそこで一旦止まり、そこでおじさんはおばさんの方に前屈みに腰を曲げて、ここからは聞こえないんだけれど、何か話してるみたいだ。
ここの家のパパは、その後姿を見ながら、なんだか物思いに耽っているように見えたけれど、それからすぐ

それから、僕たちは、外灯のあたりだけが明るい暗くなった公園の中に入ってった。
公園の中にある歩道脇の草叢の中からは、途切れることがない虫の声が聞こえてくる。
時折、その虫の声に混じって「リーン、リーン」と別の虫の声が聞こえてくるんだ。
公園の周りの建物の屋根の上では、蝙蝠たちがバタバタと羽根を動かせて空を飛び回ってた。



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