122 ちょっと隣の町まで

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今日の夕散歩、あれは散歩じゃないよ。

確かに家を出てすぐに、ここの家のパパが、僕に
「行けるか?」って聞くから、「えっ、どういうこと?」
と一瞬、僕は立ち止まってここの家のパパを見上げちゃった。
そうしたら、いつものコースを大幅に外れて、国道に出ちゃった。
それから、東京方面に向かって歩き始めちゃった。
夕方とは言っても、まだ太陽は落ちてない。
日陰を選んで歩くけど、やっぱり暑いんだ。
だから、僕は、座り込んで、口を大きくいっぱいに開けて、舌もこれ以上出せな
いって位出して、身体中を大きく震わせて息をする。
とてもじゃないけど、もう進めない。
というか、人家のない国道沿いの歩道には、仲間の匂いがないんだ。
この道路は、犬の散歩には使ってないんだよ、きっと。
もし、使うとすれば、国道に沿った旧道だよ。
こんなアスファルトとコンクリートで作られた道じゃない。
だけど、ここの家のパパは、先を急いでるから、この道を選んだみたい。
僕の座り込みを見て、最初は僕が歩き始めるのをじっと待ってた。
だけど、とうとう辛抱できなくなったみたいで、僕を抱き上げて歩き始めちゃった。
ここの家のパパの腕から吹き出した汗が、僕の毛にくっついて気持ち悪い。
抱きかかえられている身、贅沢は言うまい。
なんとか、大きな橋にたどりついた。
向かい風がすごくて、僕のヘアースタイルは、ぐちゃぐちゃ。
この橋と並行して走ってる鉄橋に、西に傾いた太陽を背に電車が走って行く。
ながい県境の橋を渡りきると、そこからすこし長い下りの坂道がある。
それを下りきった交差点を曲ると隣町に入る。
町中は、仲間のにおいがいっぱいだ。
電信柱に自動販売機、カラーポールに草叢、街路樹からの匂いが、僕を誘うんだ。
だから、僕は、元気を取り戻して匂い探し。
向かいからやって来た仲間と同伴の見知らぬお姉さんは、
「こんにちは。」とここの家のパパに挨拶をして立ち去った。
目的地は、今日まで返さないといけない本があるから、図書館か。
図書ポストに返却の本を入れ、さあUターン。
復路は、国道を降りて、旧道を歩いた。
旧道の周りには、田圃だった。今は、黄緑の稲の葉と穂が、広がっている。
近くの極相林からはヒグラシの鳴き声が聞こえる。
国道の上では、金色の丸い夕陽が、もう少しで今日が終ることを告げてるみたい。
往路と違って、これだったら、僕も家まで歩いて帰れるよ。


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