チーズの目 86

早暁からここの家のパパは、起き出してTVの電源を入れ、「玉蹴りごっこ」を見ている。
でも、起きたのが相当遅くて、「玉蹴りごっこ」は既に後半戦で日本2対デンマーク1だって。
それから、日本がまた1点ゴールして、最終的には日本3対デンマーク1で、日本が勝ったんだ。
僕としては、久しぶりに早朝の散歩に出かけたくて、ここの家のパパの周りで自己アピールをしてたんだ。
やっと、ここの家のパパも出かける準備を始めた。

本当に久しぶりだね、こんな朝早く散歩するの。
まだ、町には誰も起きていないんじゃないかなと思ったら、とんでもない。
以前よくあった仲間と久しぶりにご対面。
同伴者のおばさんから、
「久しぶりねぇ。チーズ君。」って声掛けられた。
そのおばさんは、ここの家のパパも名前は知らないけれど、顔見知りの人なんだ。
そうそう、今日はいつものコースとは違うコースを歩いてきた。
バス停には、既に通勤のおじさんやおばさんが、並んでバスが来るのを待っていた。
「早い時間だから、バスの本数が少ないんだよ。
だから、このバスに乗リ遅れちゃうと大変なことになるんじゃないのかな、それでこんなにたくさんの人が並んでいるんだよ。」って、ここの家のパパは、批評家みたいに解説をしてくれた。
少し坂道を登っていくと、枇杷の実が落ちている。
上を見上げると、枇杷の実がたわわに実っているんだ。
熟した橙色とまだ熟していない緑色の枇杷の実と種がアスファルトの道上に無造作に落ちている。
ここの家のパパは、その落ちている枇杷を見て、
「モッタイナイなぁ。」とため息をついている。
そうか、ここの家のパパは、枇杷好きだったんだ。
でも、家の中でここの家のパパが、食べているのを見た記憶がないなぁ。
坂の上にあるコンビニの駐車場まで来て、そこからもときた道を引き返して家に帰ることにした。
まだ町は、限りなく透明に近い白い靄(もや)に包まれているんだ。

昼間出て行ったここの家がパパが、顔中汗ビッショリになって、夕方帰ってきた。
上半身裸になって、汗を拭いている。
それが終わったら、今度は僕の、夕散歩に連れて行ってもらうことにしよっと。
にほんブログ村 犬ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 犬ブログ マルチーズへ
にほんブログ村