チーズの目 59

 今日の朝の散歩は、ここの家のパパと。
 今朝の空は、雲が少なくて晴れ渡っていた。
 ここの家のパパは、「もしかしたら、富士山が見えるか?」と言いながら、僕を富士山が見える坂に連れて行く。
 行ってみたけれど、やっぱりの山端に雲がかかっていて全然見えなかった。
 太陽は、ちくちくと肌を刺すように痛かったなぁ。
 今朝は、親しい友達とも会わなかったなぁ。
 幼稚園児を見送った後のママさんたちの情報交換、いつもお疲れ様です。

 午後の散歩も、ここの家のパパと。
 今日のエピソードは、工事の中のおじさんとの出逢いだ。
 いつものコースを少し変更して歩いていたら、ちょうど工事中の道路にぶつかったんだ。
 そして、通行止めの看板の所に立っているガードマンのおじさんが、僕の方を見ながら、ここの家のパパに、「赤ちゃんか?」って聞いたんだ。
 「いいえ、4つです。
  マルチーズなんです。」って、ここの家のパパ。
 「じゃあ、これで青年なのか?」
 「まぁ、そうです。」
 「そうか、それで元気なんだな。」って、ガードマンさん。
 僕たちは、ガードマンさんが立っていた道を外して別の道を選んだんだ。
 ここの家のパパが、ぼそっと一人ごちている。
「たったあれだけの会話なんだけれど、なんか暖かいものを感じるなぁ。
 あの人の話し方かな?
 なんなんだろうなぁ?」