チーズの目 56

 午後から風が強くなってきたけれど、今日はいい天気だ。
 朝の散歩は、ここの家のママと。
 午後の散歩は、ここの家のパパといってきたところ。
 今日の夕日は、きれいだった。
 きっと、明日も晴れかな?
 
 ここの家のパパは、午前中からどこかへ行ってしまうし、ここの家のママも出たり入ったり、ほとんど僕1匹状態。
 折角のいい天気なのに。

 だから、ここの家のパパと午後の散歩に出かけるとき、猛ダッシュで玄関を駆け出したんだ。
 午後の散歩は、いつものコースを少し小走りにまわってきた。
 散歩しながら、ここの家のパパの話を聞いた。
 E川では、幼稚園児の遠足があったんだって。
 みんなオレンジ色の帽子をかぶっていて、最初遠くから見かけたときは、堤防の土手の緑に大きなオレンジの花が、まるで上から下に移動しているように見えたって。
 近づいてみると、幼稚園児の遠足だって、わかったんだって。
 付き添いの女の先生が3人に、園児が43人。
 ここの家のパパの幼稚園の遠足って、
 「もう半世紀近く前のことだから、どこへ行ったのかも忘れたって、ただ実家に写真が残ってるかも・・・。
 それを見ればおもいだすかなぁ。」
 なんて言ってるけど、おぼえているわけないよ、きっと。
 それから、ここの家の長女の遠足は、幼稚園バスに乗っていったんだって。
 その時は、ここの家のママがちょうど妊娠中で、次女も一緒に連れて行ったって。
 それは、ビデオに写してるから、残ってるって。

 でも、みんなと遠足って。楽しいんだろうなぁ。
 僕には、経験できないことだもん。