チーズの目 40
昨日の昼過ぎから降り出した雨のせいで、午後の散歩はお預け。
いつもの毛布の上で丸くなって瞑想に耽り、そのまま無我の世界に突入。
今日は、実に太陽が眩しい朝です。
昨日に引き続き朝の散歩は、ここの家のパパが、同伴してくれました。
ここの家のパパは、いつものコースを行くつもりだっただけれど、すこし僕の我ままでコースを若干変えてみた。
小学校の近くの神社の前でゴールデン・レトリバーと小柄なおばさんに出会ったんだ。
先方は、僕に近づいてきたんだけれど、僕はやっぱり大柄な方は苦手なので、逃げ回ってたら、そのおばさんが、同行のゴールデン・レトリバーさんに
「逃げちゃったわよ。」って、僕って臆病なくせに前足と鼻を出したがる癖があるんだ。
だから、引き摺られるように去っていくおばさん前を行くゴールデン・レトリバーの後を追いかけようとしたんだけれど、ここの家のパパに引き止められたから、それ以上深追いはしなかったんだ。
昨日の朝出会ったダックスフンドのおばあさんが住む家の横の階段を、今日は下りたんだ。
路地に降り立ったら、丁度ジャージ姿の中学生(きっと部活だな)が、でインターフォン越しに、
「○○です。
××君いますか?」っていう光景に出くわしたんだ。
すると、インターフォン越しに××君のママ(お母さん?)の声が、
「ちょっと待ってね。すぐに××の支度終わるから。もう少し待っててねぇ。」って聞こえてきた
「はい、わかりました。」って、○○君はインターフォに向かってかしこまってお辞儀していた。
○○君の横を通り過ぎるとき、ちょっとここの家のパパの方を見上げたら、なんか苦笑いしていた。
きっと、何十年も昔の自分の中学生時代の頃を思い出していたんだろうな、きっと。
スダジイマテバシイ通りって名前の、大きな通りに出るんだ。
僕の住んでいる街は、街路樹の名前を道路名にしているんだ。
だから、この通りの街路樹はスダジイマテバシイってこと、その街路樹の間に躑躅(つつじ)が植わっているんだけれど、緑の中にたくさんの躑躅色(薄紫の鮮やかなピンク色)と一群の白い色が、朝の太陽の光を浴びて本当に本当に綺麗なんだ。
その通り沿いにPランドがあり、いつもはその店の前に僕たち犬用のWCが備え付けてあるんだ。
でも開店前だから、今は備え付けてない。
でも、いつもの習慣で僕はその場所へ出向く。
そうすると、そこには僕と同じ趣味のシーズさんとご婦人(ここの家のパパよりかなりの年上だと思う)が先客でいました。。
僕は、シーズさんよりもその同行のご婦人の傍に行って、ご婦人に愛想を振り撒いた。
これも、いつもの僕の癖なんだ。
僕は、どちらかというと、同類の犬よりも同行者の方に興味があって、そちらについ媚を売ってしまう。
今日は珍しくここの家のパパが、ぶっきらぼうにご婦人に話し掛けてる。
「おはようございます。あのぉ。この犬って、なんていう種類ってなんです?」
「あっおはようございます。これは、シーズなんですよ。」って、通りを行くトラックの音で少し聞こえづらかったけれど、なんとかここの家のパパは、聞き取れたみたい。
「ああ、シーズなんですか・・・いま、いくつなんですぅ?」とここの家のパパ。
「今年で10歳なんですよ。」って、ご婦人。
「ああそうなんですか。うちのが4歳です。」ってここの家のパパがボソボソと。
そのあとご婦人が何か言ってたみたいだけれど、今度はトラックの通り過ぎる音で、ご婦人の声は消されちゃった。
でも、ここの家のパパは聞き返すことはしなかったけどね。
その間、僕は中腰になったご夫人の前で少しはしたないけれど少しきでを振る。
「ああ、この子もオスなんですね。」って、僕の頭や胸を撫でながらをご婦人は言った。
少し名残惜しんだけれど、そこで僕は先輩のシーズさんと別れ家に向かい始めた。
さっきも書いたけれど、本当に躑躅色の鮮やかさが朝の太陽の光に包まれて綺麗だ。