チーズの目 13

 今日は、晴れてとても気持ちのいい一日になりそう。
 朝は、ここの家のママが散歩に連れて行ってくれた。
 今日は、ここの家のママは休日みたい。
 ここの家のパパは、あいかわらず朝からずっと居て、何するわけでもなくボケットしていたと思ったら、
 午後、突然
 「天気がいいから、早めの午後の散歩に行くか。」って誘われたからっていうよりも、僕の場合(他の犬も一緒だと思うんだけれど)散歩しそうだなぁという雰囲気というかエナジーを察知してしまうんだ。
 (誰かの本に、生物はなんらかの形でエナジーを出しているんだってね。)
 そして、いつもより少し早い時間だけれど、外出することにした。
 いつもと少し違うコースを歩くものだから、僕は少し途惑ってしまう。
 公園(ここは、どのくらい昔かは分からないけれど、お寺があったところらしく公園の奥まった所に立っている石碑に「○○寺址 ○△寺開創址」って書いてあるけれど、その当時の面影はまったくない)には、小学生が5人ぐらいボール遊びをしている。
 小さな子どもが、僕を恐がって逃げていく。
 僕は、小さな子どもには何もしないんだけれど、逃げていくのには困った。
 それから、その公園を後にして、私鉄の踏切を渡り子の区域の反対側を散歩する。
 すこし場所が変わると、町の雰囲気が全然違う。
 丸4年この地域に住んでいるけれど、いつものルートを外れると全然違う風景に出くわすのには、いつもビックリ。
 今度の公園にも、小学生8人がいた。
 こちらのグループは、体が大きいから、前の公園より少し学年が上なのかな。
 8人が小さく纏まって、そのうちの4人が、四角い小さな箱に向かって独り言を言いながら一生懸命指を動かしている。
 その四角い小さな箱を持っていない子は、持っている子の小さな箱を覗き込んでいる。
 突然、その中の1人が、「今から神になる。」とか言いながら夢中になって指を動かしている。
 公園の真ん中に広場には、よちよち歩きの小さな子どもを連れた親子連れが、ボール遊びをしている。
 僕が、その公園の柵近くの草っ原を歩いている時、僕より少し身体が大きい女の子が僕の方に向かって歩いてきて、ここの家のパパに、
 「触ってもいい?」って、
 ここの家のパパは、ニコリと苦笑い。
 その女の子は、恐る恐る僕の頭に触れる。
 僕は、草原の臭いに気が取られているから、そんなに愛想よくはできなかったけど、邪険にはしなかったよ。
 それから、その公園を後にして、近くの神社の境内に入った。
 ここの家のパパは、神前に向かって手を合わせて何かお祈りしていたけれど、
何をお願いしていたのかは、わからない。
 きっと、就職がうまくいきますようになんて、お願いしていたんじゃないかな。
 そして、今、僕は、散歩から帰ってきて、いつもの儀式を行った後、いつものようにソファの上の毛布に丸まっている。
 今、子の部屋の中に流れているのは、「ENIGMA」の音楽。
 疲れたのかなぁ。
 眠れそうだ。