想像してごらん

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 平川克美さんが紹介されていた本をやっと読み終えました。
 それは、出版が2003年4月のエマニュエル・トッド著『帝国以降』です。
 もともとは、2002年9月に刊行されたものです。
 内容的には、アメリカ帝国の衰退という仮説に基づいて、著者が理論展開した内容です。
 今後の世界の展開について、著者が記したところがあったので、メモしておきます。

 「いま形作られつつある世界は、唯一の大国に統御される帝国となることはないだろう。それは、厳密に同等とまでは言えないまでも、ほぼ等しい規模を持ついくつかかのネーションないしメタ・ネーションが互いに均衡を保つ、複合的なシステムとなるだろう。(略)日本も同様で、地図の上では極めて小さいが、日本はアメリカ合衆国の工業生産に等しい工業生産を擁し、その気になれば、アメリカのそれに等しいかもしくは上回る科学技術を擁する軍事力を15年で構築することもできるだろう。非常に長い期間で見れば、中国もこのグループに加わってくるだろう。ヨーロッパは複数の国の集まりで、独仏の指導的カップルを中心とするが、その実質的勢力がどれほどのものとなるかは、イギリスの参加に懸かってくるだろう南アメリカはブラジルの指導権の下に編成されていくように思われる。
(P271)
 
 「全世界が人口学的・文化的・社会的・政治的な諸力の自然の働きによって均衡と平穏化に向っているのであるなら、いかなる大戦略も実は必要ではない。(略)真の力とは人口学的・教育的な分野に属するものであり、真の権力とは経済的分野に属するものである。正道を踏み外して、アメリカ合衆国との軍事力の競争という蜃気楼の中に迷い込むことは、何の役にも立たないだろう。偽の軍事力競争は、現実の戦略的重要性を持たぬ国に絶えず介入するという事態に立ち至る。
われわれとしては、アメリカ軍の後ろに付き従って、作戦演劇[作戦の舞台]の観念と演劇作戦の観念を取り違えることなどしてはならないのである。アメリカ側に立ってイラクに介入するというのは、流血の軽喜劇の中で端役をこなすことにすぎない。」(P278−279)
 これからの日本の進むべき道を考えてくれる『私利私欲のない真のリーダー』は、この国にはいないのだろうか?と、言ってもなんだか空しくなります。


 読み終えた後、小さな裏庭から空を見上げると、屋根に切り取られた青空が見えます。
 そして、雲がゆっくりと流れて行きます。
 銀色の機体を秋の太陽の光を反射させて、飛行機がその雲を追い抜いて行きます。
 エンジン音を残しながら・・・・・。
 創造力を膨らませると、この切り取られた青空は、ずっとずっと広がって行き、その青空の下には、70億以上の人類が生きている。そして多様性生物たちは、全く人類に知られることもなく生きている。
 命を終える人もいるだろう、とにかく生きているものたちがいるということを想像することでなんとなく気持ちが穏やかになれるのは不思議だ。 
 そして、その創造力を養うためには、いろいろな情報に接することが必要だということである。
 それは直接自分が経験して得た情報もあるだろうし、第三者から聞いたり、第三者が書いたものを読んだりして得た情報もあるだろう。
 とにかく、そういう元になるものがないと特別な才能がある人は別だけれど、一般人には想像することは難しいことだ。
 そう、情報って大切なものなんですよね。
 そういう情報に接することが出来ないようにした、過去の愚行は数え切れないほどある。
 こういう時代こそ、ジャーナリトが色々な知恵を出して、大いに活躍する時なんだと思う。
 そういうジャーナリストが居ることを信じたいです。

帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕

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