チーズの日記 64

 今日も、昨日に引き続き朝から青空いっぱいだ。
 ここの家のパパは、また朝早くから出かけちゃった。
 朝の散歩は、ここの家のママと軽くこなしてきた。
 でも、午後には帰ってきて、またカタカタと作業をしている。
 
 僕は、いつもの指定席で身体を丸めて瞑想中。
 でも、ここの家のパパが立てる物音の度に瞑想は破られるんだけどね。

 ここの家のパパの携帯のバイブ音が鳴っている。
 どうせまた、図書館からだろ。
 やっぱり。
 で、行っちゃうの、僕を置いて・・・。
 それとも、また散歩を兼ねて・・・。
 行くよ。行くよ。
 と玄関口へ僕は駆け出す。
 
 すごいねぇ、今日の空。
 見て、見て。見渡す限り雲がないよ。
 それに、暑いよ。まるで、初夏だね。
 だから、図書館の帰り道は疲れてしまい、地べたにベタッと座って、ここの家のパパを見上げている。
 ここの家のパパは、少し困った顔をして、僕のリードを引っ張るんだけれど。
 ここで負けてなるものかと、ちょっと訴える目で、見上げる。
 僕の勝ちだね。
 僕を抱き上げて、「しかたないなぁ。」と、ブツブツ言いながら、帰りの坂道を登っていった。
 国道を越える信号のところで、後から自転車で上ってきたおじさんが、僕を見て
 「男の子か?」って、ここの家のパパに聞きながら、
 「おお、可愛いなぁ。」と僕に向かって言われたみたいなんだけれど、
 ちょうど信号が青に変わったときだから、僕は、そちらの方に気を取られてしまっていたから。
 「早く交差点渡ろうよ。」って、僕は、ここの家のパパに檄をとばしていたんだ。