折り紙

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自分のことながら、これほど長く生きるとは、思わなかった。
南方の島から帰ってきた時は、ほとんど骨と皮状態だったのに。
他の人と違って、自動車部隊だったから、なんとか生き延びられたんだろう。
この歳になると、もう何かをするということもなかなったから、こうやって折り紙を折っているんだ。

2週間に一回は、病院に行かないといけないいんだと、彼は、腰にぶら下げたストーマに目をやった。

病院に行くと、小さな子供が、待合室で退屈そうに待っているのを見たんだ。
それで、僕は、折り紙で作った独楽をその子にあげようとしたんだけれど、その子は、僕が怖い人に見えたんだなぁ。
それで受け取るのを拒否したんだ。
まぁ、最近の風潮だと、子どもたちは、知らない人から物を貰っちゃいけないっていう教育を受けているから、その子たちにしたら、ごく当たり前の態度だったんだろうなぁ。
と、彼は、言っている内容と違って、かなりショックを受けたように見えた。

たまたま、その光景を見ていた看護婦さんが、私に、私が間に入って、私の方からあの子にこの折り紙を渡してみましょうと、私の思いを汲み取ってもらえた。
それで、その看護婦さんに、暇に任せておった折り紙で折った独楽を渡した。

次のストーマの取り換えの時に、この前の看護婦さんから、あの折り紙で作った独楽は、子どもたちに大評判でしたよと、嬉しくなる報告を受けた。

それで、お願いなんですけれど、他の子どもたちも、あの折り紙で作った独楽とかカエルが欲しいと言い出しちゃったんです。
それで、大変だとは思うのですがと、看護婦さんは、手にしていたビニール袋から何かを取り出して、私の前のテーブルに置いて、他の子どもたちのために、折ってもらえませんかと、新品の折り紙3セットを置いたんだ。

まぁ、私の方から働きかけたことだから、断るわけにもいかず、困っちゃったよと、言葉とは、裏腹にかなり喜んでいるように見えました。

その次のストーマ交換のために通院した時のことなんだ。
僕が、介護タクシーに乗って、ショートステイ先に行こうとした時、タクシーの窓を叩く子が居て、よく見ると、この前、私が作った折り紙を受け取り拒否した子だった。

たったそれだけのことなんだけれど、私にとっては、とてもいい時間をありがとうと声を張り上げたくなったよ。